
「SUICIDE」とは自らの命を断つ意味での自殺では無く自らの中にある自分を俯瞰から見るもう一人の自我“OneEye”からの解放を示唆しています。OneEyeという自分の中に生まれてしまった歪んだ怪物から解放される為に私はこのOneEyeと真正面から向き合い自らを撃ち抜く必要があった。
しかしながらそれと同時に今までこの怪物は私をここまで生かして来てくれたという共存、矛盾関係にもある。
それから解放されることでようやく私は私自身になれ、また自らを殺してしまうのかもしれない。自身について言うなら、私は生まれてすぐに画家である父親と共に絵を描き始めたのが最初の記憶だった。
しかしながら父親は家に不在で幼少期の私は父への承認欲求のために絵を描き続けた。それはFather Complexと言われる人格の歪みである。それすらもOneEyeによって解放し決別しようとしている。
今展のコンセプトは個人的なテーマにも思えるが自分らしく生きる事を否定され自己を屈折させている現代人と社会に向けたアンチテーゼでもあり私が理解している“アナーキー”にも通じる。アナーキーとは反社会という意味で捉らわれがちだがその実は自分らしく生きて行くという事に他ならないと考えている。つまり今展のテーマは“自殺=アナーキー”であるとも言える。
誰もが知っている様々なキャラクターというのは商業主義、現代社会のキリスト、アイドル(偶像崇拝)として社会の至る所に存在している。私は17歳まで日本で育ちそれ以降はイギリスで7年間生活をし、数々のヨーロッパの国にも行ったがそれらのモチーフを使ったヴィジュアルは町にある十字架の数より多く、またアフリカまで行っても共通言語とて看板などに多く使用されるキャラクターを見て来た。今展のテーマを多くの国の人々に伝えるためにわたしは世界的に有名なキャラクターを再構築しOneEyeによって解放し視覚で伝える事を意図している。
恐らくこの作品群を見た鑑賞者はまず“かわいい”という言葉を発するだろう。自分の中の“かわいい”が自らに銃口を向け頭を撃ち抜くグロテスクなその姿は果たして本当にかわいいのだろうか?鑑賞者はこの作品を見た時に人間の根源にある不安“死”をもかわいいと解釈してしまう自身にも目を向けてもらえればと思う。
OneEyeによる解放の様をご高覧ください。
展覧会情報 : ArutaSoup Solo Exhibition “SUICIDE”
会場:BLOCK HOUSE 渋谷区神宮前6-12-9
会期:8月26日(金)~9月12日(月)
開廊時間:13時~20時
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